- 近年、タイでのビジネスや旅行の人気で、日本で暮らすタイ人、タイで暮らす日本人などが、国際結婚をしたり、出産したりすることが珍しくない時代となっています。タイ人と日本人の結婚、出産などをめぐる問題は、タイと日本の国の法律に関係しますので、そのような問題に直面したとき届出が必要かどうか、届出は難しくないか、どんな書類を用意すればよいかなど様々な疑問を持つことがあるかと思います。
このQ&Aでは、日本で暮らすタイ人やタイで暮らす日本人が行う婚姻(結婚)、出生などの戸籍の届出手続について、お答えします。 -
タイ人が日本で婚姻(結婚)したり子どもを産んだときは、戸籍の届出は必要ですか? 婚姻届については、届出が必要な場合と必要でない場合があります。出生届については、常に届出が必要です。 1 日本人とタイ人又はタイ人同士が日本で婚姻しようとするときは、戸籍届出窓口に婚姻の届出をし、両当事者に婚姻の要件が備わっていると認められ、届出が受理されると、有効な婚姻が成立します(以下、このようにして成立する婚姻を「日本方式の婚姻」といいます)養子縁組や認知についても同様に、届出が受理されることが必要です。届出が受理されると日本人については戸籍に記載され、タイ人同士(外国人同士)の場合には届書が50年間保存されます。 2 タイ人同士が日本にある在京タイ大使館又はタイ王国大阪総領事館などにタイ方式により婚姻届出をした場合には、日本の戸籍届出窓口への届出は不要となります。 3 タイ人(外国人)に戸籍はありませんが、日本国内で出産又は死亡した場合は、戸籍法の適用を受けますので、所在地の市区町村の戸籍届出窓口に出生の届出又は死亡の届出をしなければなりません。この届出は、10年間保存されます。 4 1及び3の婚姻や出生に関する証明書が必要な場合には、届出人は出生届の受理証明書又は出生届書の記載事項証明書を届出をした市区町村の窓口で請求することができます。 タイ人が日本で婚姻の届出をするには届書のほかにどんな書類を提出すればよいのですか? 婚姻要件具備証明書とその日本語訳が必要です。 タイ人が、日本方式の婚姻を有効に成立させるためには、タイ本国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること、独身であることなど)を満たしていることが必要ですから、市区町村の担当課では婚姻届を受理するに当たって、この点を審査します。その証明のため、日本人については戸籍謄本を外国人については婚姻要件具備証明書を提出してもらうという方法です。婚姻要件具備証明書は、タイ大使または領事が本国法上その婚姻に必要な要件を備えていることを証明する書面です。 婚姻要件具備証明書など、タイ語で書かれた書類を提出する際にはタイ国外務省の認証(ガルーダ認証)が必要でそのすべてに日本語の訳文を付け,誰が翻訳したのかを記入しておかなければなりません。翻訳者は本人でもかまいません。
私は日本人の中村エミです。タイ人のポール・ソムチャイと婚姻(結婚)しましたが、私の戸籍はどうなりますか? また、夫の氏(ソムチャイ)に変えられますか? 1 日本人がタイ人と婚姻をした場合には、タイ人についての戸籍は作られませんが配偶者である日本人の戸籍に、そのタイ人(氏名・生年月日・国籍)と婚姻した事実が記載されます。この場合、その日本人が戸籍の筆頭に記載された者でないときは、その者につき新戸籍が編製されます。 2 タイ人と婚姻しても日本人の氏は当然には変わりません。しかし、外国人の氏を名のりたい場合には婚姻の日から6か月以内であれば戸籍届出窓口に氏の変更の届出をするだけで、タイ人配偶者の氏に変更することができます。このような氏の変更の届出がされると、氏名は「ソムチャイ エミ」となります。 (1) あなたを筆頭者とする新しい戸籍が作られます。 (2) 婚姻の日から6か月以内であれば、市区町村の戸籍届出窓口に届け出るだけで、夫の氏(ソムチャイ)に変えることができます。 なお、婚姻の日から6か月が過ぎている場合には家庭裁判所の許可を得た上で戸籍届出窓口に「氏の変更の届出」をすれば氏を変更することができます。 私は日本人で、タイ人と結婚しています。タイで子どもを出産する予定ですが、戸籍の届出上注意すべきことがありますか? 1 日本人とタイ人の夫婦の子どもが外国で生まれた場合、父か母のどちらかが日本人であれば生まれてくる子どもは、日本国籍を取得します。したがって、日本人が生まれるのですから、子どもが生まれた日から3か月以内に在タイ日本大使館の大使・公使又は領事か、本籍地の市役所・区役所又は町村役場に、出生の届出をしなければなりません。 2 また、生まれた子がタイ人である親の国籍を取得した場合には、その子は二つ以上の国籍をもつ重国籍者となります。出生の届出と一緒に、国籍留保の届出をしないと、その子は生まれた時にさかのぼって日本の国籍を失います。また、重国籍者として生まれた者は22歳までに、いずれか一つの国籍を選択しなければなりません。 (1) 子どもが生まれた日から3か月以内に、出生の届出をする必要があります。 (2) 日本国籍を失わせないためには、出生の届出と同時に「国籍留保の届出」を行うことが必要です。